冷蔵冷凍車ってすごい!特徴や構造についてわかりやすく解説
もうすぐ9月なのに、毎日暑いですねー。
こんなに暑いからトラックの荷室はもう、サウナ状態ですよ…。
ん?アイスクリームや、なま物を運ぶのに、こんな暑い日はどうしてるんでしょう?
その疑問に、私がお答えします!
あっ、冷蔵冷凍車担当のペン太さん!
温度指定がある荷物を運ぶときに活躍する冷蔵冷凍車。その荷室には冷凍機が搭載されているので、暑い日もへっちゃらです!
冷蔵冷凍車についてもっと知りたくなりました。
ペン太さん、教えてください!
それでは冷蔵冷凍車について、詳しく解説しましょう。
目次
これが冷蔵冷凍車だ!一瞬で見分けられる特徴
冷蔵冷凍車を見たことがありますか?
実際に走っている他のトラックと判別するためには、どこに注目したら良いのでしょうか?
【冷蔵冷凍車の特徴】
冷蔵冷凍車の1番の特徴はここ!
この荷台のポコっと飛び出している部分です。
ここが冷蔵冷凍車の言わば「心臓」ですね!
いったいその中には何が!?
冷凍冷蔵車の外部に取り付けられているボコッとした部分は冷凍ユニットといいます。
この部分にコンデンサとエバポレータが内蔵されており、荷室を冷やすために活躍しています
コンデンサ・・・冷媒ガスを冷やして液体に変えることで、冷却効果を生み出します。
エバポレータ・・・冷却や蒸発のプロセスを利用して液体を気体に変える装置です。
このボコッとした部分が冷蔵冷凍車の荷室の温度管理を担ってるってことです。
へーぇ!なんだかすごいな。
あとは輝く白色のボディですね!真夏の太陽光でも、光を反射して車内に温度を取り込まないようにしています。だから冷蔵冷凍車には、真っ白ボディが多いんですよ!
そうなんですね!これで次から瞬時に見分けられます!
冷蔵冷凍車のヒミツ(構造)
それでは冷蔵冷凍車を、大解剖してみましょう!
まずは先ほど紹介した冷凍ユニットから。
荷物によっては、荷室の温度を氷点下まで下げて運輸する場合もあります。ですから、トラック用のコンプレッサーは、とても高い冷却性能をもっています。
コンプレッサーを動かすためには電源が必要です!
さて、新人くん、この電力はどこから来ていると思いますか?
…車のエンジンしか思いつきません…
おぉ!
正解のひとつですね!
一定の温度を保ちながら運送するためには、主に3つの方法で温度管理をしています。
それでは、順番に紹介しますね!
冷蔵冷凍車 どうやって冷やしているの?
1「機械式」
機械式と呼ばれる方法は、車両の電力によりコンプレッサー(動力)を回してコンデンサーに冷気を送り、荷室を冷却します。
一般的な冷蔵冷凍車の9割以上が機械式!一番メジャーな方法です。そして機械式は、2つの電力供給方法に分かれます。
直結エンジン方式
車両のエンジンをそのまま動力として使うので、直結という名前がついています。車についている「冷房」の機能と同じものです。車のエンジンがかかっていれば荷室を冷却することができます。
メリット | 外部電源(コンセント)が必要ない 温度調節がしやすい |
デメリット | エンジンを停止すること、冷蔵冷凍機が止まる |
サブエンジン方式
サブエンジン方式では、「冷房」専用の発電機を荷室に積んでいます。
メリット | エンジンを停止しても荷室の冷却はストップしない |
デメリット | 専用の発電機の重さにより、荷物の積載量が減る |
2「液体窒素式」
液体窒素を荷室内に噴射して冷却する方法です。もっとも冷却効果が高く、荷室温度をー40度程度にまで温度を下げることができます。
メリット | 予冷の必要がなく、ー40度まで冷却できるため、鮮度を保って輸送することができる |
デメリット | 液体窒素を補充する必要があり輸送距離に限界がある・液体窒素は高額なためコストがかかる |
冷凍マグロのように高額の食料品の運搬に使われます。
3「蓄冷式」
停車中に外部の電源で荷室内の冷凍板を冷却して凍結させます。
その冷気を使用して、荷室内を一定の温度に保ちます。
メリット | コストがかからないので経済的・エンジン停止中も冷却できる |
デメリット | 細かい温度調整ができない・長距離輸送には不向き・冷凍装置自体が重く積載量がかかる |
冷凍ユニットといっても、色々あるんですねぇ。勉強になります!
冷蔵冷凍車の荷室
次は特徴的な荷室について解説します。
冷蔵冷凍車が運搬するのは主に食品です。そのため、衛生面にはしっかりと対策がされています。
床には殺菌作用のあるステンレス素材を使用。
床に排水用の穴があり、結露した霜が溶けたあとや、車内清掃時に水を流せるので、衛生的に運送することが可能です。
夏場も冬場も外気温との戦い
夏は暑く、冬は寒い…長距離トラックは北から南まで全国を駆け巡ります。
外気温によりトラック内の温度が変化すると、結露が起きたり食品が傷んだりしてしまいます。
そうならないための装備がこちら!!
【断熱材の壁】
荷室の壁は、外気を通さないために、住宅用に使われるレベルの断熱材と厚い壁で囲われています。
太陽光が当たる左右の壁と天井、熱くなりやすいエンジンルームが近い前壁、マフラーに近い床とすべてに断熱材が使われることもあり、荷室を外気温から守っています。
【保冷カーテン】
一定に保たれている荷室の温度が、外気温の影響を受けないため、後部ドアにビニール製のカーテンを装備してある車両もあります。
【テールゲートリフター】
冷凍車の場合はドア開閉により冷気が流出することで、荷室や荷物の温度が上がってしまいます。
それを極力防ぐため、テールゲートリフターといって、荷物を短時間で上げ下ろしできるリフト装備つきのトラックもあります。
↑は収納した状態。リモコンで上げ下げできます。
車両総重量軽減のため最近ではアルミ製のものが増えています。スチールよりアルミの方が軽いですからね!
【スタンバイ機能】
冷蔵冷凍車って荷下ろしはスピード命なイメージです。
いかにドアを開けている時間を短く、荷物を載せたり下ろしたりできるかにかかってますよね!?
それをカバーしてくれるのが「スタンバイ機能」なんです!
冷蔵冷凍車は通常エンジンの力でコンプレッサーを動かし、荷室を冷却しています。
エンジンが止まることで、コンプレッサーも止まるため、停車中は外気温の影響をうけて荷室の温度が上昇または下降してしまいます。
それを防ぐのが、外部からの電源により冷凍機を駆動させる補助装置「スタンバイ機能」
スタンバイ機能が備わっていれば、エンジン停止中でも荷室を冷却し続けることができます。
冷蔵車、冷凍車、保冷車の違い
トラックに積んで運ぶものは多種多様です。
そして荷物によって、適した温度環境は違います。
荷室内の温度を調節できる温度範囲や、車両の機能によって
「冷凍車」
「冷蔵車」
「保冷車」
「2室式冷凍車」
と大きく4つに分けられます。
冷凍車は設定温度を上げることで、冷蔵車として使用することも可能です。
それぞれの車両を詳しくみていきましょう!
【低温冷凍車】マイナス15度以下
業務用冷凍庫に匹敵する非常に高い冷却能力で、冷凍冷蔵車の中では最も低い温度管理が可能な車両です。
この車両で運ぶのに適しているもの
冷凍食品・冷凍魚介類・アイスクリーム・高級鮮魚
【中温冷凍車】マイナス5度前後
低温冷凍車の次に高い温度管理能力。
この車両で運ぶのに適しているもの
鮮魚や精肉などの生鮮食料品輸送など
【冷蔵車】5度前後
冷蔵冷凍車の設定温度を高めに設定して、氷点下まで冷やさず運搬します。
家庭用冷蔵庫のような役割で、常温では保管が難しく、凍ってしまってはいけない物、もしくは凍らせる必要はない物の運搬に利用されます。
この車両で運ぶのに適しているもの
お弁当、チルド品、チーズ、牛乳、卵、野菜、精肉、薬品、完全に凍ってしまうと品質が下がる物
【保冷車】10~20度
保冷車には冷凍・冷蔵車両のような冷却機能は搭載されていません。
輸送前に一定の温度まで荷室を冷やし、クーラーボックスのように断熱材の力を使用して荷室の温度変化を防ぎます。
保冷車は、冷却するためのエネルギー消費が少なく、短時間・短距離での配送には最適です。
この車両で運ぶのに適しているもの
給食、お弁当、生麺、生菓子、医療機器、薬品など
ツーエバ(2室式冷凍車)
冷凍車の荷室内に仕切りがあるトラックです。冷凍機を車両内に2台備え、2パターンの温度管理をすることができます。
冷凍品と冷蔵品を同時に輸送することが可能なため、大幅なコストダウンを実現しました。
冷やすだけじゃない!冷蔵冷凍車は温度管理車
名前のイメージから「冷やすだけ」と思われがちですが、冷蔵冷凍車は温度管理車といって、外気より暖かい温度に保って運搬することもできます。
“荷物を適切な一定の温度で管理・輸送すること”に特化したトラックです!
例えば…
冬場の雪国に生花などを運ぶときは、凍結防止のため外気より高い温度を保って運送します。
ペットなど生き物を乗せる時や、温度管理にデリケートな楽器を輸送するときは、載せるものに合わせて適温に設定することができます。
冷蔵冷凍車の日本の歴史
一体誰が、こんなに便利なトラックを作ったんですか?
歴史を遡るとたくさんの偉人たちの努力がうかがえるんですが…グスッ…聞いてくれますか?
え…泣いてる…長くなるのかな…
日本で初めての冷凍車を作ったのは
富永シヅさんという女性です。
富永さんは、福岡運輸株式会社の創業者で、戦後食糧難で困っている国民のために水産業を再開しました。
しかし、水産業を続けていくことに不安を感じ、運送業に転向。福岡運輸株式会社の創業に至ります。
すごい行動力ですよね!!そこに、米軍基地から依頼が舞い込むんです!
冷蔵庫さえ普及していない時代に、駐屯地に食料(ミルク、アイスクリーム、パンなど)を定温輸送してほしいと依頼を受け、出向いた富永さん。
そこで米軍の巨大な冷蔵庫に出会います。
その冷蔵庫から発想を得て、冷蔵庫をトラックに載せられないだろうか…という案が生まれたのだそうです。
富永さんは矢野特殊自動車とタッグを組み、1958年に日本初の蓄冷式冷凍車を完成させました。
当時は大手の運輸会社でさえ依頼を拒む中「冷凍輸送は将来も必ず社会に必要になる」と定温運輸の依頼に立ち向かったのが富永シヅさんでした!
冷凍冷蔵庫 まとめ
冷蔵冷凍車が、こんなに深い歴史があるハイスペック車両だとは知りませんでした!
そうなんです!冷蔵冷凍車はこれから先も、日本の物流界に欠かせないヒーローなんです!
近年「走る冷蔵庫」として冷蔵冷凍車が物流以外の様々な場所で活躍しているのをご存知ですか?
えっ?輸送するだけじゃないんですか?
冷蔵冷凍車のレンタルをしている会社によるとこんな使い道もあるようです!
・業務用の冷蔵庫が壊れてしまい、臨時で食材を保存する場所が必要になった
・野外イベントで出店する店が、食材を保管する場として使用
・長期の建設作業中、現場で働く人たちの食べ物や医療品を保管
・電気を始めとしたインフラが止まった災害現場で必要な食料や医療品の保存
・災害時にトラックを借りて被災地に向かい、炊き出し
これはもう、トラック界のヒーローですね!!
冷蔵冷凍車の魅力をわかっていただけて嬉しいです!!
それでは、ぼくはこの辺で失礼します!この暑さでは、とけてしまいますから…
ペン太さん!色々教えてくれてありがとうございました!お気をつけて~!
今回は冷蔵冷凍車について詳しくみていきました。
今では日本の物流に欠かせない存在の冷蔵冷凍車。
日々、おいしくて新鮮な食材が手に入るのも、先人たちの知恵と努力のおかげですね。今後も冷凍冷蔵車両は進化を続け、北へ南へと活躍してくれることでしょう。
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