建設資材の高騰が止まらない!建設業界ができる対策と今後の戦略
はぁぁ〜…
さるおさん、大きなため息をついてどうしたんですか?
お得意様から会社の建設費用をもっと下げてくれと値切られていて。
資材が高騰している今、値下げがなかなか難しいんですよ…
住宅の建設費も数年前に比べると爆上がりしているといいますね。
解説くん、いったい日本の建設業に何が起きているんですか?
そしてこの建設資材高騰はいつまで続くんでしょう?
今回のコラムでは、建設資材が高騰する理由と、それに立ち向かう建設業界についてみていきましょう。
目次
建設資材が爆上がりする現状
さるおさん、上のグラフなんだかわかりますか?
建設業の資材価格がぐんぐん上がっているのは一目瞭然ですね。
2021年〜2024年10月まで、どれだけ建築資材の価格が上がったかというグラフです。
建設業に関わる資材の価格は土木部門、建築部門のどちらも上昇しています。
数字にすると約3年間の間に33%も資材価格が上がっているのです。
建設資材高騰の原因4つ
なぜ、こんなに深刻な資材高騰が起きているのでしょうか。建設資材高騰の理由について詳しくみていきましょう。
原材料の不足
まず、1つ目の原因は原材料の不足です。
上の表でわかるように、建築資材の価格は驚くほど高騰しています。
70%あがっている資材もあるのか…
この価格高騰は、世界的な建設資材不足が原因のひとつのようです。
なぜ今、建設資材が不足しているんだろう?
2020年からの新型コロナウィルスの流行しました。
その影響により、世の中の会社の多くがストップするという事態が世界中で起きました。
施工会社はもちろん、輸入元の資材を加工する工場もストップしたということですね。
でも…そろそろ通常に戻ってきてもいいんじゃないですか?
それが、今もずっとその影響が続いているんです。
ウッドショック
「ウッドショック」とは、建設業界における木材価格の急激な上昇を指します。
1.コロナ禍が終息し、海外・国内共に住宅工事の需要が増加
2.森林伐採規制の強化や自然災害により、木材の供給が減少
3.燃料価格の上昇により、木材の輸送コストが増加
このような理由が重なり、木材が不足・値上がりしています。
アイアンショック
「アイアンショック」とは、建設業界における鋼材価格の急激な上昇を指します。
1.コロナ禍が終息し、建設プロジェクトが増加。鉄鋼の需要が急増
2.鉄鋼生産国の政策変更や自然災害により、鉄材の供給が減少
3.鉄鉱石や石炭の価格が上昇
このような理由が重なり、鉄鋼加工材も不足・値上がりしています。
コンテナ不足
建設資材ではないコンテナがなぜ不足ですか?
新型コロナウイルスの蔓延により、外出を控える人が増え、ネット通販などの取引が活性化しました。
家にいて大型家電やお取り寄せでおいしいものが届く便利さを体感してしまったからなぁ。
通販での物流が活発になり、運輸の際に使用するコンテナが不足しています。
木材や鉄鋼を運ぶために必要なコンテナ自体の需要が上がっているため料金も上昇しました。
エネルギー価格の高騰
さるおさん、家庭でも電気代が上がってますよね?
そりゃあもう。息子も娘も自分の部屋でテレビにエアコン、電気代が家計を圧迫するよ。
建設業におけるエネルギーも同じです。工事をするには、電気やガソリンが必要ですよね?
クレーンやブルドーザーを動かすためには燃料がいりますし、電動工具・空調を働かせるためには電気が必要です。
大がかりな工事になればなるほど、機材や空調、車両エネルギーも必要になります。
電気代が上がっているのは、身に染みて感じているから、この理由は納得だよ。
円安による輸入価格の高騰
今、日本は円安が続いています。
…
さるおさん、耳を塞がず聞いてください。
円安とかドル高とかっていう話はどうも苦手で…
では、わかりやすく説明しますね。
円安とは、日本円の価値が他国の通貨に対して下がることをいいます。
例えばアメリカのキャンディを買おうと思ったときに…
【円高の時のキャンディ】
例えば、1ドルのアメリカ産キャンディが日本円で100円だとします。
つまり、100円で1ドルのキャンディが買えるってことだな。
ところが円安が進むと…
さっきまで1ドル100円だったキャンディが、円の価値が下がったことにより120円に。
今度は1つのキャンディを買うために120円が必要になります。
ということは建設資材も同じということか!
建設業で使われる鉄鉱石やセメントなどの資材は、ほとんどが外国から輸入されています。
円安になると円の価値が下がるため、これらの資材を買うのに必要な費用が増えるというわけです。
世界の紛争による影響
近年深刻化しているウクライナ情勢も、資材の高騰に影響しています。
石油価格の変動や、物流ルートが破壊されることで、混乱や制限が起きて資材の高騰の原因となっています。
さるおさんの裏話
物価の高騰の話の時に大変言い出しにくいのですが…
さるおさん、どうしました?
実際の現場では、ときに未使用で廃棄になってしまう資材があるんです。
えっっ!!未使用ですか!?
工期がギリギリの時に資材が足りなくなることを懸念して、余分に準備した資材…とか。
そんなとき、どうするんですか?
極力廃棄は避けたいのですが…。発注ミスや余分に準備したタイルなんかはリサイクルしづらい現実があってですね…
そんなときは、は…は…廃棄…も。
さるおさんが話す建設資材の未使用廃棄は、実は珍しいことではありません。
コンクリートや鉄鋼などは、スクラップにしてリサイクルにまわす仕組みが確立されつつあります。
しかし、中にはリサイクルする過程で余計にコストがかかってしまう資材もあるのです。
そんな資材の廃棄をなくすため、未使用の建設資材を買い取って、SNSで買い手を募り販売するビジネスも始まっています。
そうなんですか!?そのシステムを使えば、ぼくたちが感じる未使用資材への罪悪感が多少軽くなります。
できるだけ廃棄を出さない対策も必要ですが、このようなビジネスにより、大切な資材を適切に次の建設に利用できるのは大きなメリットですね!
建設業界2025年の資材高騰対策
さて、どうやら2025年もまだまだ資材の高騰は止まらない予想です。
困ったものです。一体どうなってしまうのか。
このトピックでは建設資材の高騰による影響を少しでも抑えられるよう、その対策についてお話しします。
スケジュールに余裕を持つ
建設業は、工期に追われがちだと、前にお話ししたのを覚えていますか?
はい!覚えています!
工期に余裕を持たせることにより、国外からの輸入のタイミングを見計らうことができます。
季節や市場の状況を見計らい発注することで、資材コストを下げられる可能性があるのです。
また、同じ設計の建物を複数箇所で建てる場合は、資材をまとめて発注することにより、コストダウンが期待できます。
複数の資源供給の会社と契約する
どの会社もお得意様がいるので、木材は〇〇林業、鉄筋は〇〇鉄鋼といったように資材を仕入れる会社が固定されてしまいがちです。
それを複数の会社と契約し、コストを比較することで、資材を安く購入することができる場合もあります。
また、地元産の資材や、会社を活用することで、輸入コストが不要になり大幅なコストダウンがみこめます!
IT 技術を積極的に活用
建設現場の作業計画やスケジュール管理をデジタル化することで、効率的にプロジェクトについて把握できるようになります。
デジタル化のメリット
- データ収集と分析により効率的に資材を使うよう管理できる
- 現場の温度、湿度、振動などをリアルタイムで監視し、従業員の安全性を確保する
- 資材の在庫管理や輸入元からの配送の追跡を行う
これらの過程により、先ほどのトピックであった、未使用の建設資材の廃棄を減らしたり、作業効率を上げる対策にもなりますよ。
輸入に頼らないこれからの建築資材
【リサイクルコンクリート】
建物を壊すと、大量の廃材が出ます。
それを「リサイクルして再利用しよう!」という取り組みは、2000年より「建設リサイクル法」として義務付けられており、国内コンクリートリサイクル率は99%以上と高い数値となっています。
既存の建物を解体したコンクリートを再利用
コンクリートのがれきをリサイクルできる技術により工場で新たな建設資材に加工して、現場に輸送します。
コンクリート2次製品は、プレキャストコンクリートとも呼ばれ、建設資材としてさまざまな場所で使われています。
再利用だからと甘くみてはいけません!耐久性や耐水性、耐火性に優れているんです。
【地元産の木材】
地元の森林から得られる木材は、海外からの輸送コストが必要ありません。
そして!適度な木材の伐採は地域の森林資源を保護する効果もあるんです!
【3Dプリンターによる建設資材】
セレンディクス社の3Dプリンター住宅
3Dプリンターで出力した壁を建設現場に輸送し、組み立てます。
コンクリートのみを利用することで、資材のコストが下がり、作業は3Dプリンターが自動で行うため人件費もかかりません。
セレンディクス社の開発した「serendix50」は、50平米1LDKの平屋建てで、2人暮らしを想定して設計されています。
「serendix50」のモデルハウスは、44時間30分で施工が完了したそうですよ?
施工時間44時間30分!?
それはすごいな。
能登半島沖地震で被災した高齢者にとって自宅の再建は多額の費用と時間、労力がかかります。しかし、資材と人件費を大幅にカットできる3Dプリンター住宅は、コストも時間も削減。新たな住まいの選択肢となりつつあります。
・水回りの設備込みで、550万円(税別)
参照:SUUMOジャーナル
建て壊しによる廃材をリサイクルして、3Dプリンターで新たな資材としての活用も始まっています。建設業界の資材不足に一役買いそうですね!
建設業界の未来のために
今回のコラムでは、建設資材の高騰と今後の対策についてみていきました。
2025年もまだまだ建設資材は高騰する予想ですが…
それでも対策をいろいろ知れたことで、ちょっと未来が明るくなったよ。
まずは、廃棄される建築資材についての対策からでしょうか。
そうだなぁ。未使用資材を活用してくれる会社について調べてみます!あと、ITの導入も社長と相談ですね。
そうですね。1つひとつ努力の積み重ねで、建設資材の高騰を乗り切っていきましょう!
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